本記事では、土地活用の代表例であるアパート経営について、その仕組みや特徴をわかりやすく解説します。立地や投資額のハードル、安定収入の可能性といった魅力に加え、期待できる年収や利回り、成功率、さらによくある失敗例まで網羅しています。アパート経営を検討する際に役立つ情報をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
そもそもアパート経営とは
アパート経営とは、アパートを所有し、各部屋を賃貸することで家賃収入を得る不動産ビジネスを指します。賃貸住宅の需要は全国的に広く存在し、家賃は景気の影響を比較的受けにくいことから、安定した収入を見込みやすい点が特徴です。一般的な商売のように急激な売上の増減が起こりにくく、将来にわたって一定の収益を期待できるため、計画的な借入を行いながら堅実に返済を進められるビジネスといえます。
また、特別な経営手腕や高度な専門知識がなくても取り組みやすく、必要な手間も比較的少ないことから、多くの人にとって参入しやすい土地活用方法とされています。
アパート経営の収益について
アパート経営の収益は、所有する資産規模に比例する傾向があります。ここでいう資産規模とは、現金や有価証券などの流動資産と、不動産などの固定資産を合計した総資産の大きさを指します。つまり、経営者個人の能力よりも、どれだけの資産を保有しているかが収益に直結しやすいビジネスです。ただし、家賃収入を増やそうとして資産を拡大する際に借入金へ過度に依存すると、将来的に借入過多となり、リスクが高まる可能性もあります。
そのため、アパート経営は「大きく短期間で稼ぐ」事業ではなく「安定的に長く続ける」事業である点が大きな特徴です。
アパート経営で得られる所得は「不動産所得」と呼ばれ、家賃収入から固定資産税、火災保険料、管理委託料、修繕費、減価償却費などの必要経費を差し引いた利益を指します。減価償却費は実際の現金支出を伴わない会計上の費用であるため、手元資金を確保しやすいという側面もあります。
アパート経営の成功率
アパート経営の成功率は、一概に数値で示すことが難しいものです。なぜなら、何をもって「成功」とするかはオーナーごとに異なるからです。例えば、安定した収益を確保できていれば成功と考える方もいれば、相続税対策として大きな節税効果が得られたことを成功と捉える方もいます。このように、目的や重視するポイントが人それぞれ異なるため、アパート経営全体の成功率を客観的に算出することは容易ではありません。
アパート経営の成功の一番の指標は「入居率」
一方で、一定の指標を成功の基準と定めれば、客観的な数値として把握することは可能です。その代表例が「入居率」です。入居率が高い状態を成功と定義すれば、統計データを基におおよその成功率を推測できます。実際に、総務省が公表している「平成30年住宅・土地統計調査」のデータによると、日本全国の居住中の借家数は1,906万5,000戸、借家の空き家数は432万7,000戸とされています。これらを合計すると、借家住宅の総数は2,339万2,000戸です。
この総数に対して空き家数を割ると、空室率は18.5%と算出されます。さらに、満室状態を100%とした場合、そこから空室率18.5%を差し引くことで、入居率は81.5%となります。つまり、全国平均で見ると、およそ8割以上の物件が入居している状況です。
この数値はあくまで全国平均であり、地域や物件の条件によって大きく差が出る可能性はありますが、入居率を一つの基準とするならば、アパート経営は比較的高い割合で稼働していると考えられます。ただし、成功の定義は収益性や節税効果、長期的な安定性など多岐にわたるため、ご自身の目的に照らして総合的に判断することが大切です。
アパート経営における失敗例とその対策
ここからは、アパート経営でありがちな失敗とその対策を見ていきましょう。土地まで借入金で購入してしまう
アパート経営でよくある失敗として、まず挙げられるのが「土地まで借入金で購入してしまう」ことです。アパート経営は、建物の建築費のみを借入する場合であれば、家賃収入の中から比較的安定して返済していくことが可能とされています。しかし、土地と建物の両方を借入金でまかなうと、借入総額が大きくなり、収益性が追いつかなくなるリスクが高まりやすいです。もともと土地を所有している場合は建築費だけの借入で済むため、返済負担が軽く、失敗の可能性は大きく下がります。
アパート経営の収支構造を見ると、その理由は明確です。不動産所得を計算する際の必要経費には、固定資産税や都市計画税などの公租公課、火災保険料や地震保険料、修繕費、管理委託料、入居者募集のための広告費や仲介手数料、そして借入金の利子などがあります。
実際に現金支出を伴う経費は、家賃収入の15〜30%程度が目安です。一方、減価償却費は実際の支出を伴わない会計上の費用で、家賃収入の40〜50%程度を占めることもあります。
ただし、借入金の元本返済額は必要経費には含まれない点が重要です。例えば、木造アパートの法定耐用年数は22年であり、建築費4,400万円を22年間で均等返済すると、毎年の元本返済額は約200万円になります。
同時に4,400万円を22年で償却すると減価償却費も年間200万円です。つまり、減価償却費と元本返済額はほぼ同額となり、帳簿上は利益が出ていても、実際の手元資金(キャッシュフロー)は家賃収入の約20%程度にとどまる計算になります。
これは建築費のみを借入した場合の想定であり、土地取得費まで借入に含めれば、返済額はさらに増え、手残りは20%を下回り、場合によっては赤字になる可能性もあります。アパートの収益性は、土地取得費の借入まで十分にカバーできるほど高くはないのです。
そのため、失敗を防ぐには、もともと所有している土地で行うか、少なくとも土地は自己資金で購入することが望ましいといえます。
資金不足の状態で経営を始める
もう一つの失敗要因は「資金不足の状態で始めること」です。理論上は建築費の範囲内の借入であれば返済可能とされますが、実際には長期運営の中で空室増加や賃料下落が発生する可能性があります。アパートローンの融資期間は、木造であれば法定耐用年数の22年程度が一般的です。この長期間にわたり、常に満室を維持できる保証はありません。
リスクに備えるためにも、借入額はできる限り抑えることが重要です。近年では、金融機関も建築費の100%を融資することは少なく、少なくとも建築費の10%程度の自己資金を求めるケースが一般的です。
さらに、設計料や不動産取得税、登録免許税などの諸経費が建築費の約5%発生します。したがって、頭金10%と諸経費5%を合わせ、建築費の15%程度の自己資金を準備しておくことが、安全なアパート経営を行ううえでの目安となります。
十分な自己資金と無理のない資金計画こそが、失敗を防ぐ鍵と言えるでしょう。